鍼灸全身コースは、不妊治療、肩こり、腰痛、生理不順、冷え性といった方から、どこかなんとなく調子が悪い、本調子ではない、という方の体調を整えること(養生)、また免疫力アップなど、症状にあわせて治療内容を組み立てて行うコースです。
そのメカニズムの詳細が全て明らかになっているとは言えないものの、重ねられた多くの研究と臨床から、鍼灸治療には生体機能の調整、血行の促進、免疫力の活性化といった作用があると考えられています。
つまり鍼灸治療の刺激が自律神経系、内分泌系、免疫系等に作用することで、筋肉の緊張緩和、血液及びリンパ液の循環を改善させるなどの作用があり、それが人体の病気を自然に回復させる機能を正常化させる、体の機能全体を調整していく働きがあると考えられているのです。
これまでに、WHO(世界保健機関)から発行された鍼灸治療に関する報告書(2002年WHO Essential Drugs and Medicines Policy発行)によれば、以下の各症状に対して有効性が認められたとされています。
1.神経系疾患
神経痛・神経麻痺・痙攣・脳卒中後遺症・自律神経失調症・頭痛・めまい・不眠・神経症・ノイローゼ・ヒステリー
2.運動器系疾患
関節炎・リウマチ・頚肩腕症候群・頚椎捻挫後遺症・五十肩・腱鞘炎・腰痛・外傷の後遺症(骨折、打撲、むちうち、捻挫)
3.循環器系疾患
心臓神経症・動脈硬化症・高血圧低血圧症・動悸・息切れ
4.呼吸器系疾患
気管支炎・喘息・風邪および予防
5.消化器系疾患
胃腸病(胃炎、消化不良、胃下垂、胃酸過多、下痢、便秘)・胆嚢炎・肝機能障害・肝炎・胃十二指腸潰瘍・痔疾
6.代謝内分秘系疾患
バセドウ氏病・糖尿病・痛風・脚気・貧血
7.生殖、泌尿器系疾患
膀胱炎・尿道炎・性機能障害・尿閉・腎炎・前立腺肥大・陰萎
8.婦人科系疾患
更年期障害・乳腺炎・白帯下・生理痛・月経不順・冷え性・血の道・不妊
9.耳鼻咽喉科系疾患
中耳炎・耳鳴・難聴・メニエル氏病・鼻出血・鼻炎・ちくのう・咽喉頭炎・へんとう炎
10.眼科系疾患
眼精疲労・仮性近視・結膜炎・疲れ目・かすみ目・ものもらい
あたりまえのことですが、人体はひとつにつながっています。ここが痛いからといって、その場所だけに原因があるわけでもなく、またどこが、というわけではないものの、なんとなく本調子ではない、といった場合も多くあるかと思います。
お身体の状態について問診でゆっくり伺いながら、体の中でのつながりを考えて治療メニューを、ひとりひとりのために、また、同じ人であってもその日の体調にあわせて考えて治療を組み立てていくことが鍼灸治療の最も得意とする治療法です。